いざ美容室を開業したものの、スタッフを雇う人件費があまり確保できていない。そのような場合、業務委託のスタッフであれば費用を抑えることができます。
今回は、美容師が業務委託する場合の契約書の注意点について、いくつか紹介したいと思います。
目次
業務委託の美容師とは
業務委託の美容師は個人事業主にあたるため、美容室やサロンに正社員として勤めて給料を受け取るのではなく、美容室と契約書を交わし報酬を受け取る人のことを指します。
報酬は、基本的に個人が売り上げた分の50~70%が報酬として還元されるようになっています。例えば、月に300,000円売り上げた場合、150,000円~210,000円が報酬として受け取ることができます。
正社員やアルバイトに比べて、保険料・交通費等はお店側は負担しないため、その分割安となります。
美容室が契約書を交わす理由と内容
それでは、なぜ美容室を経営する側が業務委託を行う美容師と契約書を交わす必要があるのか、ご存知ですか。
これは、一種の保険だと思っていただければと思います。仮に、書面ではなく口約束だったとします。法律でも口約束は有効ですが、双方が守っていなければトラブルになりかねません。
書面にて契約を交わす目的として、
・契約における権利義務の発生やその内容を明確にすること
・事後的なトラブルを防止すること
の2点が挙げられます。
書面の内容
書面の内容は、主に以下の記載が必要となります。
・報酬の支払い
仕事が完成した分しか報酬は支払えないこと
・美容室の指揮命令
仕事内容に関して、オーナーから指揮命令をもらわないこと
・材料、機材の準備責任
作業に用いる機材は請負人が準備すること
・勤務時間
遅刻欠勤などの、時間的拘束を受けないこと
契約書の際に注意すべきポイント
それでは、次に美容室が業務委託のスタッフと契約書を交わす際に、注意すべきポイントについてお話します。
①作成できたら弁護士に確認してもらう
今ではネットで調べれば契約書の雛形はたくさん出てくるので、参考にしてもらえればと思います。ただ、作成できたら一度弁護士に確認してもらうことをおすすめしています。
弁護士に作成を依頼する理由としては、下記のようなことが挙げられます。
お店として不利益な契約であることを避けるため
どのような契約であっても、それぞれの条項について当事者が有利な条項、不利益な条項があります。そのため、お店にとって不利益になっている可能性も考えられます。
だからといって有利な条項にすれば良いというわけではなく、取引条件を考慮し、不利な場合でもリスクを考慮しておかなければなりません。
無効な条項が含まれている可能性があるため
不利な条項があれば、有利な条項に書き換えれば良いのではないか、という疑問が上がるかと思いますが、その場合は無効となってしまいます。
契約は原則として双方が合意すれば有効ですが、中には法律上の問題で有効にならない場合もあります。
②双方の署名押印をして保管
締結の際は、必ず2通作成した後に押印をして、美容室を経営する側と業務委託を受ける美容師が各1通ずつ保管するようにしましょう。
③開業届の提出を済ませる
これは業務委託を受ける美容師側の話ですが、個人事業主として開業届は済ませておく必要があります。開業届は出さなくても罰せられることはありませんが、節税対策できたりその他にも様々な特典があるので、おすすめします。
双方で契約書を交わして、気持ちよく働こう
いかがでしたか。契約書は何だか難しそうで、内容を考えるのが億劫になって全てプロに任せがちになります。しかし、ある程度の知識を持っておかなければ、何か問題が行った時に困ります。美容室側も業務委託を行う美容師も、双方が契約書の内容を理解して、気持ちよく働けるようにしましょう。