最近、美容師の業務委託が増えましたよね。業務委託は雇われている美容師と比較して自由が増える分、面倒なことが数多くあります。その中でも、今回は業務委託をする際の経費について紹介していきます。
目次
美容師が業務委託の場合に必要なこと
美容師が業務委託を行う場合、以下の手続きが必要になります。
・開業届の提出
※個人事業を開業したことを税務署に申告するための手続きのことを指します
・青色申告の手続き
※こちらは必要な方のみ。節税したいのであれば、青色申告がおすすめです
・日々の帳簿付け
※青色申告した方のみ必要になります
・確定申告
美容師の確定申告とは
確定申告と聞いてピンとこない方がいるかと思います。
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間で生じた所得とそれに対する所得税を計算し、2月~3月の間で税務署に書類を提出し、源泉徴収された税などの過不足を精算する手続きのことを言います。
元々お店に勤められていた美容師の方であれば、お店側が年末調整を行い税金の調整をしていたと思いますが、業務委託を行う場合は必ず確定申告を行わなければなりません。
もし期限内に申告できなかった場合は脱税になってしまう上に、延滞料なども発生するので十分注意が必要です。
白色申告と青色申告
更に深堀してお話すると、確定申告には青色申告と白色申告の2種類存在します。
・白色申告
帳簿付けが簡単な分、節税効果を期待することはできません。開業届をして青色申告の手続きを行わなければ、基本的に白色申告での扱いとなります。
・青色申告
普段の帳簿付けが面倒ですが、最大65万円の特別控除が適用されたり、3年間まで赤字を繰り越すことができたりと様々な特典があります。
まだ事業を始められて間もない方や所得が少ない方は白色申告で良いかと思いますが、今後事業を拡大していく予定がある方は青色申告にしておいた方が良いです。
日々の帳簿付けが面倒に感じるかもしれませんが、今では便利な会計ソフトがあります。中でも、freee(フリー)、MFクラウド確定申告、やよいの青色申告等はとても有名です。
美容師申告できる経費とは
それでは、確定申告で必要になる経費についてお話します。経費とは事業を行う上で必要な費用のことを指しますが、一体どこまで申告できるのだろう、という疑問が度々挙がります。
業務委託の美容師は、具体的に以下のような費用が発生すると考えられます。
・材料費
・水道光熱費
・店舗家賃(お店を経営していた場合)
・通勤交通費
・インターネット代
・電話代
・得意先が相手の飲食費
・洋服代
・通信費
・セミナーの参加費
・税金、社会保険料
それでは、この中で経費として申告できるものはどれでしょうか。
材料費・水道光熱費・店舗家賃・通勤交通費・電話代・通信費・得意先が相手の飲食費・セミナーの参加費等は計上することが可能です。
美容師が自宅で開業した場合
それでは、店舗家賃・水道光熱費について更に詳しくお話します。
例えば住宅で美容室を経営する場合、どのくらいの家賃を経費として計上できるのか、ということもよく疑問点として挙げられます。
家賃の計算方法は、主に二通り挙げられます。
家賃の計算方法
①面積から計算する
住宅のスペースから仕事に関連する机、作業道具など業務に使用している面積を算出します。(仕事で使用している面積)÷(自宅の面積)で按分比率が算出されます。例えば自宅が30平方メートル、家賃が8万円、事業スペースが15平方メートルの場合、15平方メートル÷30平方メートルで按分比率が50%になるので、4万円を家賃として計上できます。
②時間から計算する
家賃の計算方法は面積から算出することが多いですが、時間から計算することも可能です。
例えば、家の家賃が8万円だったとして、1日のうち8時間作業をしている場合、8万円×0.3(8時間÷24時間)=2万4,000円
それでは、続いて水道光熱費はどうすれば良いのでしょうか。
水道光熱費の計算方法
水道光熱費についても、以下のような計算方法があります。
①時間から計算する
1週間の業務時間を算出し、毎月の水道光熱費の金額をかければ計算が可能です。
月の水道光熱代が15,000円で月の業務時間が60%だった場合、9,000円
を計上することが可能です。
②コンセントの数で計算
電気代であれば、以下のような計算方法もできます。
自宅のコンセントのうち、仕事で使用している差し込み口の数の比率で決めます。(仕事で使用している差し込み口)÷(自宅コンセント)で計算することができます。例えば仕事用で5つの差し込み口を使用しており、自宅には15個の差し込み口があった場合、0.3になります。
月の電気代が15,000円の時に、5,000円を計上することが可能です。
見ていただいたら分かる通り、同じ経費でも計算方法によって金額が大きく異なるので、自分はどちらの方法が正しいか計算した上で申告するようにしましょう。
美容師の業務委託の経費として認められないもの
社会保険料や住民税・所得税・国民健康保険料といった税金は、経費として計上することができません。仕事とは直接関係のない、インターネット代なども認められていません。
また、よく問題に挙げられるのが洋服費です。美容師の場合、服装は非常に大事になるかと思います。例えばお店のユニフォームがある場合、洋服は経費として計上できますが、私服の場合は認められないことが多いようです。そのため、洋服は経費として計上できないと思っておいた方が良いかと思います。
※ただ、実は仕事着として買った洋服が「特定支出控除」として認められる場合もあるようです。
美容師の業務委託の経費を計上する際に必要なのは適正さ
それでは、経費は所得に対してどのくらいの割合であれば良いのでしょうか。実は昔は業種ごとに概算経費率というものがあったそうですが、今は廃止されています。そのため、どのくらいの割合でも正確に計上できていれば、問題はありません。
ただ、この「正確さ」という点が徹底できておらず、税務署から指摘される方が数多くいます。よく確定申告にありがちなミスとして、以下のようなことが挙げられます。
領収書があれば、何でも申請する
領収書があればすべて申請しようとする方がいますが、これは間違いです。確定申告は必要経費のみ申請できるので、注意が必要です。例えば、先程得意先の相手先の飲食費を挙げましたが、仕事とは無関係の飲食費は経費として計上できません。
書類内で共通するはずの数字が合わない
確定申告の書類は、共通する数字を記載する欄が数多く存在します。そのため、仮にその数字に食い違いがあった場合、税務署から指摘される可能性が高いです。税務署から連絡がくる一番の要因なので、注意が必要です。
実は確定申告はやり方を間違えると、思っているよりも損害を受けてしまう可能性があり、その額は数万円から数百万と言われています。考えただけでぞっとしますよね。
そこで、自信がない場合は、税金のプロである税理士にお願いするのも一つの手かもしれません。税理士に相談すると費用がかかってしまいますが、控除分を考えると結果的にプラスになって戻ってくることもあります。
いかがでしたか。業務委託の美容師は雇われている美容師に比べて、自分でやらなければならないことが多く、大変かと思います。
自分は必要最低限のことを理解して、プロに任せられるところは極力任せる。そのようなスタンスで臨むのが最も良いかと思います。