外国では当たり前だというフリーランスの美容師。日本でも個人事業主のようで「面貸し」などといわれる形態や、業務委託などの業務形態が増えているようです。
いったい美容室に勤務する美容師と違い、どのくらい稼げるのでしょうか？ちょっと興味がありますね。
ここではフリーランス美容師の業務形態、休みや収入などについてご紹介致します。
目次
どんな人が「フリーランス美容師」として独立するか？
美容師をはじめて、８~９年位。もう十分な実力はついているけれど、十分な開店資金がまだないとか、独立して開店するにはまだちょっと勇気がないなどという人が「面貸し」や業務委託などのフリーランスになります。それにフリーランスとして働くことで、自分で開店した場合の予行演習になります。
フリーランスになることで、売上の半額などが自分に入ってきますし、実力次第では社員時代より稼げることは確実です。社員美容師の時代でも指名ナンバーワンだった人ならフリーになったほうが稼げるかも知れません。
中には地方から東京に出て稼いで資金を貯め、また故郷に帰って、地価の安いところで、美容室を開業するというパターンもあります。
独立したフリーランス美容師の勤務時間は？
近年はどんな仕事でもフリーランスが増えています。それは雇用側の人件費の問題であったり、雇用される側の働き方の自由を守るためであったりといろいろ原因はあります。
美容師の場合もそれは例外ではなく、近年さらに増えてきた傾向にあると言われています。
まず、美容師には雇用形態が3つあります。
ひとつは正社員、もうひとつは、面貸し（レンタルミラー）、そして業務委託です。
面貸しと業務委託はいわゆる「フリーランス」です。
正社員のほうが、面貸しや業務委託よりは収入の面では安定していると思われるでしょう。しかし最近はその「定説」も変わってきています。美容室によっては、正社員の固定給を少なくし、あとは歩合というところもありますので、半分は自分で稼がなくては食べていけない店も存在します。この場合でも半分は収入が保証されているのですから、まったくのフリーよりはましと言えます。また、勤務形態はその店の営業時間に準じます。といっても閉店後すぐに帰れるわけではなく、片付けや掃除、または閉店後に技術を磨くための練習がある場合もありますので、大変です。
面貸しと業務委託ですが、勤務形態は正社員とは違います。「面貸し」は指名で予約が入っている場合、その時間に店に出勤すればOKです。予約が終われば、掃除して帰ってもOKなのです。それに対して業務委託は、シフト制です。早番、中番、遅番と3交代が普通です。希望も出せるので早番のみとか、遅番のみとか、通しなどの希望でもOKです。
こういうシステムは正社員のように時間が拘束されないので、独立の準備をしているとか、技術を磨きに更にレベルが高いセミナーに行っているとかの場合には便利です。ある程度技術力がついた人でないと無理だと言えます。
独立したフリーランス美容師の収入のしくみは？
では、フリーランス美容師の収入のしくみはどうなっているのでしょうか？フリーの美容師には面貸しと業務委託があります。
「面貸し」フリーランス美容師とは何か？
まず「面貸し」はその名の通り、美容室「鏡のある場所」の1席を借りることになります。英語で「レンタルミラー」とは洒落たネーミングです。場所を借りているのですから、「場所代」をその美容室に払わなくてはいけません。
現在ではこうして「面貸し」で働く人が増えたため、従来のように正社員と面貸しが混在状態ではなく、面貸し専門の美容室まででき、「シェアサロン」と呼ばれているほどです。
面貸しの場合、美容室に払う金額や契約によって変わってきます。また、集客も美容室ではやってくれないので、自分でやらなくてはいけません。そのために名刺を作ったり、簡単なチラシを作ったりということも自分の費用でやる必要があります。
面貸しの場合、収入形態は、①完全歩合制 ②時間貸し ③月額固定費の3種類が多いです。
①の完全歩合制は、売上の40~60％が相場で、例えばお客様がカットとパーマで12,000円払ったとすると、売上50％の場合、半分の6,000円が自分に入ります。基本の材料費はないので、サロンのものを使用可です。
②の時間貸しの場合は、1時間1500円などで1席をレンタルし、お客様が払った金額から借りた席代を引いた分が自分に入ります。例えばお客様が12000円払った場合、席代が3時間で4500円だったとすると7,500円が自分に入る計算になります。しかしながら、材料費は自己負担となります。
③の月額固定費は月極でサロンの1席をレンタルします。代金はサロンによって違いますが、数万円~10数万と高額です。しかも材料費も自己負担となります。
どの形態がいいのかはその人次第ですが、掛け持ちも可なので、常に2~3人同時進行していることも多いです。うまくやれば、社員よりも稼げるのは確実です。
「業務委託」美容師とは？
面貸しとともに「業務委託」で働いている美容師さんもいます。この「業務委託」とは、この数年で増えている激安サロンなどに多く、集客は美容室がやってくれるので、自分では集客しなくていいです。それに毎日の勤務でなく、好きな日だけ出勤もありのようです。もっともお客様の予約が入っていたら、その日に出勤することになります。しかし出勤する時はシフト制となり、毎月、事前にシフト希望を提出して決めるようです。
また、業務委託の報酬形態は完全歩合制のところが多く、取り分は30~50％のようです。業務委託美容師の取り分は、面貸しには負けますが、勤務の自由度は高いです。
フリーランス美容師独立の「面貸し」のメリットとは？
では、面貸しの美容師のメリットとは何でしょうか？まとめてみました。
収入が増える
フリーとして面貸しの美容室で働くと、完全歩合制のことも多いです。だいたい売上の40~60％が自分の収入となるため、やればやるほどお金になります。稼ぐポイントは、いかに多くのお客様を同時進行させるかにかかっていると言えるでしょう。そのため、面貸し美容師の中には、うまくお客様の施術の段取りを組んで、同時進行させている人も多いです。
ストレスがなくなる
社員美容師時代には、勤務時間も長く、スタッフとの関係も避けられないので、ストレスが溜まっていた人も多いのではないでしょうか？しかし、フリーで面貸しとなれば、自分のお客様の予約が終了すると、掃除をして帰ってもいいですし、煩わしいことに気を使わなくて良くなります。その結果、ストレスを感じなくなったという人も多いです。また、美容師としての本来の仕事だけを考えていればいいので、仕事に集中できるという人もいます。
スケジュールが自由である
フリーランスの特権は、なんといっても時間が自由なこと。もちろん、予約が入っている時はその時間に来て施術をしなくてはいけませんが、それ以外は自由です。時間が拘束されることがないので気持ちにゆとりが出ます。
他のスタッフと切磋琢磨できる
いまや面貸し専門の美容室もできたようですが、まだまだ面貸しと正社員の美容師が混在している美容室は多いです。
そんな時に、面貸しが入店してくると注目を浴びます。まだ年若く、5年、6年先を見越して独立開業をしようとしている社員美容師も、面貸しに独立の相談を持ちかけてきたりすることもあります。こういう人は意識が高く、本気度も高いため、まじめで学ぶことも多いです。それにつねに新しい技術を身につけようとアンテナを張っているので切磋琢磨できます。
フリーランス美容師独立の「面貸し」のデメリットとは？
では、反対に「面貸し」美容師のデメリットとは何でしょうか？
固定給ではない
雇われ時代と違い、フリーランス面貸し美容師には固定給がありません。それに店側は集客をしてくれないのですから、自分でお客様を掴んでこないと収入はゼロです。それに店側に「場所代」を払わなくてはいけませんので、お客様が少ないと、マイナスになってしまう可能性があり、常に心配は尽きません。
独立する意欲が薄れる
フリーランス面貸し美容師は、独立する時のリハーサル、シミュレーションだといいましたが、実際のところ、上手く集客できて、予約がたくさん入れば、社員時代とは比較にならないほど稼げます。ふと「こんなに稼げるなら、無理して独立しなくていいか」と思うこともあります。でも、面貸しとサロンオーナーでは、まるで格が違います。やはり夢に向かって突き進むのをおすすめします。
まとめ
いかがだったでしょうか？
フリー美容師の面貸し、そして業務委託の実態をご紹介致しました。
同じ美容室の中で働いていても、社員の人もいれば面貸し、業務委託の美容師さんもいる現代。
一昔前までは、独立していきなりサロンオーナーのケースが多かったのですが、面貸しという形態が出てきて、まずは個人事業主として、独立を疑似体験できる形となりました。これは独立を希望する美容師さんにとって、リハーサルができるわけですから、非常にいい制度だと思います。
また、現在ではこうしたフリーランス美容師が増えていると言われています。このことからますます美容界は実力主義の世界になってきていると言うことができるでしょう。